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委員会

「COVID-19感染拡大に伴う緊急事態宣言中の植込型補助人工心臓装着患者の管理について」

 COVID-19感染拡大に伴い、2020/4/7に緊急事態宣言が出されました。これにより人の移動が大幅に制限され、今まで植込型補助人工心臓(iVAD)を装着した患者やその介護者に対して行ってきたサポートがしにくい状況となりました。緊急事態宣言解除後も人の移動に関しては注意を払わなければならない状況が続くと思います。
 今回、JaSECT学術委員会VAD部会では、植込型補助人工心臓実施施設として認定されている7施設に下の7つの項目について問い合わせを行い、それぞれの施設における対応方法や考え方をまとめました。感染拡大の程度など、それぞれの施設が置かれている状況は異なりますが、人の移動には十分に留意して安全性を確保しようとしている様子が伺えます。この情報が皆様のご施設での今後の検討にお役に立てば幸いです。

 

この情報に対するお問い合わせは、以下のメールアドレスまでお願いいたします。
JaSECT学術委員会VAD部会
jasect_vad(アットマーク)jasect.jp (アットマーク:@)

 

質問内容
① 退院プログラムを行っているときの配慮
② 外来受診の頻度
③ 外来受診困難者への対応
④ 就労復帰希望患者への対応
⑤ 患者が感染した場合の対応
⑥ 介護者が感染した場合の対応

 

各施設からの回答
A病院
① 基本的に医療従事者を伴った外出トレーニングは大学構内で実施し、医療従事者を伴わない外出トレーニングも大学構内で実施するか、公共交通機関を使用せずに自家用車で一時帰宅して帰院してもらうようにしている。公共交通機関使用時の注意点は口頭で確認している。
② 1か月に1回。ただし外来受診ができなくなることを考え、2か月分の衛生材料および薬剤を処方している。
③ 電話での診療(勤務先から県外に出ることを禁じられた人や外出したくないという人を対象に)
④ Emergency Card※1に記載されている内容をもとに患者自身で就労復帰先の職員の方々に説明してもらっている。HeartMateⅡ®ではトレーニングキットを貸し出している。
⑤ 症状なし→自宅隔離、咳、熱、筋肉痛など症状あり→入院
⑥ 他に介護者がいればその介護者とともに自宅で経過観察。他に介護者がおらず、患者に自己管理を求めることが難しい場合は社会的入院を考慮する(濃厚接触者としてCOVID-19対応病棟への入院)。
⑦ 多職種カンファレンスはWeb会議システムを用いて行っている。
※1デバイスの概要や緊急時の対応方法が記載されたカードサイズの資料。いつも患者カードと一緒にショルダーバッグに入れてもらっている。

 

B病院
① 病院の別館(リハビリ棟)を用いて、模擬外出トレーニングを医療従事者と一緒に行っている。外泊トレーニングに関しては、介護者に提出してもらった写真をもとに居宅調査を行い※2、自宅療養環境に問題がなければ患者と介護者で外泊、それで問題なければ退院としている。
② 基本的には1か月に1回。創部や病状等に問題がなければ2か月に1回にする場合もある。
③ 電話での診察(遠方から通院している人、公共交通機関を使用するような人を対象に)
④ 就労復帰は待ってもらっている。
⑤ 症状なし→自宅待機、軽度~→入院(まだ発生していないので要相談)
⑥ まだきちんと検討されてはいないが、他の介護者がいれば自宅待機、いなければ社会的入院をしてもらわざるを得ない。
※2 COVID-19感染拡大以前は、初回外泊トレーニング時に患者の自宅に医療スタッフが出向いて居宅調査を行っていた。

 

C病院※3
⑤ 入院中に発熱した場合、基本的には院内のCOVID-19対応マニュアルに従って対応する。
⑥ 透析患者のCOVID-19対応マニュアルに準じ、帰国者・接触者専用窓口に連絡したうえで病院に連絡してもらう。
⑦ 棟外のリハビリ室には行かず、病棟内でリハビリを行っている。
※3 調査を行ったときは入院患者のみ

 

D病院
① 外出トレーニングは中止、院内で模擬的に実施している。居宅環境の確認はチェックリストとアースチェッカーを用いて家族が行い※4、問題なければ試験外泊を実施している。
② 1か月に1回。状態が安定していて来院は不要と判断された方は電話診察を実施。衛生材料および薬剤の払い出しには家族に対応してもらっている。
③ 電話診察
④ すでに就労復帰している方は就労先の規定に則り、従事してもらう。就労復帰希望者には待ってもらっている。
⑤ 他の患者同様、マニュアルに従って対応することになるが、入院となった場合の入院先の病棟に関しては検討中(普段からVAD患者を管理している病棟か、COVID-19対応病棟か)
⑥ 他の介護者が同居できない場合は入院を検討
※4 COVID-19感染拡大以前は患者の自宅に出向いて居宅調査を行っていたが、今回を機に居宅調査は家族の方に確認していただく方針としている。

 

E病院
① 同行者を最少人数にとどめ、人込みを避けて、通常通りの外出トレーニングを行っているが、医療従事者同伴のトレーニングは病院敷地内で行うこともある。家族だけでの外出時は、自家用車を使用してもらうか、近場で短時間にとどめてもらっている。外泊トレーニング前には写真や動画を用いて居宅環境のチェックを行っている※5。県外在住の患者は外泊のまま退院とし、帰宅翌日に病院に連絡を入れてもらい、状態を確認している。そのような場合は初回外来を1週間後に設定し、早めに受診してもらうようにしている。
② 基本的には1か月に1回。COVID-19感染拡大前から県外の患者で管理施設が近くにある場合は管理施設と当院を交互に受診してもらっている(2~3か月ごとに当院の外来を受診してもらう)。
③ 電話診療。自宅近くに連携病院(VAD管理施設でないこともある)がある場合は、そちらを受診。
④ 就労先の許可があれば就労を優先させる方針だが、臨床工学部門の職員は外出禁止となっているので、機器の説明は医師に行ってもらう予定(詳細は今後、そのような相談があった場合に検討)。
⑤ 症状なし→自宅待機、軽度→入院(植込実施施設以外でも可(サポートしてくれている施設など)、重症→植込実施施設に入院
⑥ ほかに介護者がいれば、そのまま自宅待機。介護者不在となる場合には社会的入院を検討せざるを得ない。
※5これまで患者の自宅に出向いて居宅調査を行っていたが、COVID-19感染拡大前から試験的に写真や動画で居宅環境の確認を行っており、緊急事態宣言が出されていた期間中も写真や動画で確認を行った。今後も継続的に写真や動画での確認をしていく予定である。

 

F病院
① 歩行訓練及び医療従事者を伴った外出は大学構内か、構外であっても1km以内までとしている。医療従事者を伴わない外出も同様。
② 状態が落ち着いている方は1か月に1回(ただし、2か月分の衛生材料および薬剤を処方している)
③ 遠方(県外を含む)ならびに状態が落ち着いている方は電話とEメールを用いた問診を行う。
④ 現在、依頼がないので、検討していない。
⑤ 現在なら病棟が空いているので症状に関わらず入院になると思う。
⑥ 他に介護者がいない場合は入院になると思う。

 

G病院
① 当院では患者の外出および外泊は禁止されているため、外出試験を模擬して院内の極力人通りの少ない通路を選択して歩行、階段昇降、バッテリー交換などを行っている。人通りの少ない職員用出入口から外へ出て警報音を視聴することは許可をもらっている。外泊試験は行えないため、退院帰宅してみて問題ありそうだったらすぐに戻ってきてもらうという方針にしている。
② 通常時と同様、基本的に1か月に1回
③ 県外に行ったら2週間は就労を禁止するという職場で働く介護者がおり、受診できない患者がいた。そのような患者から希望があれば電話診療で可としている。その場合、薬は薬局へFAXすることで処方してもらい、衛生材料は着払いで発送している。機器のチェックは患者に目視点検を行ってもらい、回転数や電力がいつもと違うと感じたら連絡してもらうようにしている。
④ 4月に1度、説明会の依頼があったので医師とMEで対応した。今のところ他に希望者はいない。
⑤ PCR検査陽性かつ中等症(酸素投与が必要)以上の場合、県内の患者は当院のICU陰圧個室にて管理、県内の患者がPCR検査陽性かつ軽症の場合は、当院の第一種感染病床または感染患者用病棟で加療する方針。Jarvik2000の場合は検討が必要であるが、機器のチェックはデータに問題なければ部屋の外からモニタをチェックするのみの方針。
⑥ 他に介護者がいなければ当院へ入院。濃厚接触者として当院の感染患者用病棟個室で経過観察する方針。
⑦ 県外の患者が陽性となった場合、越境して入院させることは難しいと思われる。その場合、各県のVAD管理施設に協力依頼することになるが、その施設で取り扱っていない機種に関しては基本的に患者自身の管理になる(重症化した場合、自己管理は困難)。また、VAD管理施設がない県もあり、その場合の対応が明確になっていないのが現状である。Web会議システムなどを用いて機器説明会を行うことも考えておく必要がある。

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