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委員会

補助循環の安全管理基準 (再掲 2016 年 10 月 21 日作成)

勧告

 

一般社団法人 日本体外循環技術医学会 理事長 吉田 靖
安全対策委員長 安野 誠
教育委員長 百瀬直樹

 

 一般社団法人 日本体外循環技術医学会は、「体外循環技術に関連する研究の進歩ならびに普及をはかり、これを通じて学術文化の向上、医療の進歩発展に寄与すること」を活動趣旨としており、学術向上のみならず臨床における安全確保を目指した活動も行っております。この活動として 2007 年 4 月に「人工心肺における安全装置の設置基準」の勧告(2015 年第五版改訂)を致し、安全装置の設置の普及啓発に努めてまいりました。
 このたびの補助循環の安全管理基準の勧告も、上記に掲げた「安全の確保」を目指した活動の一環です。補助循環は、緊急対応があること、長期管理が必要になること、患者移動をともなうこと、そして多職種による管理が必要になることなどの特徴があります。よってこの勧告により補助循環を利用する治療の特徴を十分理解し、多職種間で情報共有がなされることで、患者への影響を低減させ、有益な治療が行えるための基準になると考えます。今回の勧告は補助循環を管理する上で必要最低限かつ重要な項目を掲げました。会員の皆様には、本内容をご理解いただき、可能な限り今回の勧告を参考にされ、補助循環においても安全な管理を実践頂けますようお願いいたします。

 

 

 

補助循環の安全管理基準

 

2016 年 10 月 21 日

 

【装置基準】

① バッテリー駆動ができること
② 手動装置で操作できること
③ 酸素ブレンダーを搭載すること
④ 遠心ポンプ使用時は低流量・高流量アラームの設定ができること
⑤ 移動時には酸素ボンベを搭載できることが望ましい
⑥ 気泡検出器が搭載されていることが望ましい
⑦ 回路内圧の測定ができることが望ましい
⑧ 専用架台を使用することが望ましい

 

【運用基準】

① 補助循環マニュアルを作成し、これに従い運用すること
② 導入時・補助施行中それぞれにチェックリストを作成すること
③ 取扱説明書に準じて定期点検を実施し、点検実施記録を保管すること

 

【待機時】

① 酸素ボンベを常時搭載している場合は、残量を定期的に確認すること
② 管理物品の使用期限を確認し、予備の物品も備えること
③ 内蔵バッテリーは定期的に交換し、常に満充電の状態を保つこと

 

【導入時】

① 回路内に空気の残存がなく、プライミングラインの閉鎖を確認すること
② ガスの吹送を確認すること
③ 血液流量を確認すること
④ 送血の色で酸素加の確認を行うこと

 

【搬送時】

① 搬送前に適切なアラーム設定を行うこと
② バッテリーの残量を確認すること
③ 酸素ボンベ残量は移動時間を考慮すること
④ 手動装置を携帯すること
⑤ ガス供給源の切替え時には吹送ガス流量と送血の色を確認すること
⑥ 回路などの屈曲や抜け、装置の転倒に注意を払うこと

 

【管理時】

① 電源が供給されているか確認すること
② アラーム設定の確認をすること
③ 手動装置を治療室に常備すること
④ 回路・装置および患者の状態を常に観察すること
⑤ 定期的に酸素加能・凝固能の確認をすること
⑥ 刺入部からの出血や下肢虚血など合併症の確認を行うこと
⑦ 補助循環回路からの補液や血液浄化回路の接続は避けることが望ましい

 

【離脱時】

① 補助流量に合わせて呼吸・循環動態、凝固能、酸素加能の調節を行うこと
② 補助循環の停止時は補助循環回路を確実に閉鎖すること
③ 離脱後の再循環に備えること

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